ローゼンメイデンの話

ローゼンメイデンの作者 PEACH-PIT が25周年らしい。Kindle でも25円というとんでもないセールをやっているようだ。これを機に、久しぶりにローゼンメイデンを読み直してみることにした。

わたしとローゼンメイデンの付き合いはかなり古く、いまファーストシーズンと呼ばれているシリーズの初版の最終巻をリアルタイムで読んだ世代だ。可愛らしい絵柄と卓越したキャラクターデザインに重いストーリー、当時のわたしはローゼンメイデンに心酔していたと言っていい。多感な時期のわたしは翠星石に惹かれ、心と性癖を大いに狂わされた。まだ「推し」なんて言葉は使われていなかったが、読者はみな各々のお気に入りのドールに狂わされていたと思う。なかでも水銀燈の人気は別格だったように記憶している。

などと当時の熱狂をここまで綴ってきたが、白状するとわたしはローゼンメイデンのことをかなり長いあいだ忘れていた。ましてやバラ栽培という趣味を始めたにも関わらず、ローゼンメイデンのことが意識に上ることはなかった。あれだけ愛していた作品であるにも関わらずだ。フォロワーがローゼンメイデン公式の25周年情報をリツイートするまでは忘却の彼方であった。もちろんこれには理由がある。

ローゼンメイデンは現在ヤングジャンプから出版されており、すでに完結しているが、初版は幻冬舎のコミックバーズから刊行されていた。冒頭で「いまファーストシーズンと呼ばれているシリーズの初版」などといった回りくどい書き方をしたのは、このコミックバーズ版が「いわく付き」だからだ。どうやら著者と編集部の間で何かしらのトラブルがあったらしく、ネタバレは避けるが明らかに打ち切りという形で物語は閉ざされてしまった。書店で明らかに薄い「8巻」を手に取ったときの不穏さは今でも覚えている(現在の新装版では7巻に統合されて全7巻構成になっている)。

当時あれだけローゼンメイデンに心酔していたわたしにとっては、こういった形で作品が終わってしまったのは耐えがたい記憶となり、心に深い傷を負った。もうこの作品は終わってしまったんだと思い込んだわたしは、まさか他誌に移籍して続きを連載しているなどと夢にも思わず、逃避として記憶の奥底にしまいこんでしまうことにしたのだと思う。

そうして長い月日が経ち、あらためて読んだローゼンメイデンは…面白かった。本当に面白かった。知っている物語なのに、読んでいるうちに涙が出そうになった。どうして忘れてしまっていたのだろう?

ただファーストシーズンを読み終えたものの、あれほど焦がれた物語の続きを読む勇気がなかなか出ずセカンドシーズンには踏み出せないでいたが、そろそろ覚悟を決めて続きを読むべきだと感じている。もうずっと翠星石のことばかり考えていて頭がおかしくなりそうだ。いや、初めての出会いのときからとっくにおかしくなっていたのかもしれない。8巻で凍りついていた時間が、二回目の出会いによって少しずつ溶けはじめたような気がする。

Image from Gyazo

掘り出した透明シェルターをひたすら聞き続けている。