深夜に突然頭がおかしくなってマクロレンズを買いました。労働がつらすぎるのがいけないんや…。

斜陽

対象読者

この記事は以下のいずれかに当てはまる方におすすめです。

  • ペンタックスKマウントのユーザでマクロレンズの現行製品を検討している
  • マウント問わず本レンズが気になっている

注意事項

本記事はベンチマークなどは扱いません。また、筆者はマクロレンズを所有するのはこれが初めてなので、他の競合製品との比較はできません。本格的なレビューや細かい性能については他サイトでも取り上げられているのでそちらを参照するのが良いかと思います。

LAOWA 100mmF2.8 2xUltra Macro APO 交換レンズデータベース - とるなら~写真道楽道中記~

また、本レンズはフルサイズ対応ですが、わたしは PENTAX K-S2 を使用しているため、レビューの内容や掲載した写真はすべて APS-C での使用感になっています。

はじめに

今回買ったのは、タイトルにもあるとおり Venus Optics 製の Laowa 100mm f/2.8 2x Ultra Macro APO のペンタックスKマウント版です。このレンズはいくつかのマウントで既に国内発売(サイトロンジャパンが代理店)されていますが、去年末に発表されたKマウント版は未だ国内での取り扱いがありません。 わたしはグローバル版(?)の公式ストアで購入したのですが、ざっと調べた限りKマウント版の購入報告はあまりないようなので、興味がある同志のために軽くレビューを書いてみることにしました。

まずわたしがこのレンズの購入に至った理由ですが、安価であることと最大撮影倍率が2倍であること、他マウントでの作例を見てシャープで線の細い描写が気に入ったことが挙げられます。公式サイトのページからも素敵な作例を確認することができるので、気になる方は覗いてみましょう(虫が苦手な人はやめておいたほうが良いかもしれません)。

Laowa 100mm f/2.8 2x Ultra Macro APO - LAOWA公式サイト 製品ページ

購入

Venus Optics 公式のオンラインストア(上記の作例のURL)で購入できます。マウントは各社のものが全て選べるので間違えずに「Pentax K」を選びましょう。本体が $449 で、オプションの三脚座が +$30 です。わたしはあまり必要性を感じなかったので本体のみ購入しました。

商品は香港から発送されます。なんと送料は無料(有料でお急ぎ便?も使えるようですが今回はパス)で保証も3年間付きます。ただし保証はこのオンラインストア扱いになり、 各国の現地代理店(日本ならサイトロンジャパン)のサポートは受けられない と明記してあるので注意が必要です。このあたりが気になる人はサイトロンジャパンの取り扱いが始まるまで待ったほうがいいかもしれません。

支払いはクレジットカードの場合もペイパルで行います。アカウントなしでも支払いできるという噂や、日本円で支払うよりも米ドルで払ったほうが安いという噂もあります。

無料配送だと早く着いたり遅く着いたりするよと書いてありましたが、私の場合だと注文から4日で手元に届きました。はやい。配送業者は FedEx → 日本郵便です。 どうやらレンズは関税が掛からないカテゴリらしいですが、消費税がどうなったのかよくわかりません。おそらく後ほど FedEx から請求が来るものと思われます。

付属品

なかなかおしゃれな箱に入った状態で届きます。

本体に加えて、フードとUVカットフィルタが付属します。フィルタはレンズ装着された状態で箱に入っているので、前玉にゴミが付着するリスクがないのが嬉しいところです。フィルタ自体の品質は今の時点では不明ですが、とくに悪影響があるとは感じていません。あとの方で掲載する作例はすべて装着したままです。

フードは曲者で、まず装着するのがとても難しいです。はめる角度もわからないし回す角度も謎です。10分くらい格闘して上手く装着できなかったので、フードについては忘れることにしました。

使用感

本レンズは本体に付けると焦点距離の入力が必要になります。釈迦に説法とは思いますが、ここで正しく 100mm と入力することで SR (手ブレ補正)の恩恵が得られます。

ピントリングは滑らかで回転はかなり重いです。持ってるレンズの中で一番重いかもしれません。シビアなピント合わせが要求されるレンズなので重くて正解だと思います。欲を言うなら回転量がもう少し欲しかったかも。オートフォーカスはありません。

絞りリングはAポジションがあるのでボディ側で Exif が取れるのが嬉しいところ。こっちのリングはピントリングと比べてかなり軽く、クリック感はあるもののサクサクと気持ちよく回ります。フルサイズ対応なので古いフィルムカメラでも問題なく使えるはずですが、わたしが使っている RICOH XR1000s には何かが引っかかってうまく付きませんでした。

絞りはマウントによって羽根の枚数が違うという噂もありますが、少なくとも手元のKマウント版は7枚です。絞ると玉ボケの形は露骨に7角形になります。近接撮影するときは玉ボケが出やすいので、背景によって開放で撮るか絞るかは悩ましいところ。 絞り関係の注意点としてはAポジションにロックがないので、うっかり指があたってマニュアルになってしまわないように少しだけ気を使う必要があります。

レンズ全体ですが、ガッシリとした金属鏡筒で冬の時期はかなり冷たいです。重量は付属フィルタ+キャップ付き+フードなしの状態で実測 722g ありました。なかなか重いです。 私が持ってるレンズの中で一番重い DA★11-18mmF2.8 が同条件の実測 755g と比較的近い重さだったので、保有している人は想像しやすいかもしれません。長さがあるのもあって、K-S2 につけると DA★11-18 よりもバランスが悪くなります。三脚をひっくり返さないように注意が必要です。

マウント部も金属製で頑丈です。マウント部ではなく本体の側面に取り付け位置の赤丸が付いてるのが地味に使いやすくて好感が持てます。脱着も基本的にスムーズですが、外すときにやや引っかかりを感じる瞬間がたまにあります。これは使っていくうちに解消されるかもしれません。

フィルタは 67mm 径です。ペンタックスの純正レンズではあまり多くないサイズかもしれません。わたしが持ってる中ではタムロンの SP AF17-50mm F/2.8 CR Di II が同じサイズでした。

近接撮影

さすがに2倍マクロは今までに体験したことのない新境地でした。気分は顕微鏡です。

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ただし最短撮影距離の絞り開放(F2.8)では被写界深度が 1mm くらいしかありません。手持ちでは対象物にピントを合わせるのも至難の業で、体の揺れでもピントが外れてしまいます。三脚は必須ですし、マクロスライダーもあったほうが良いかもしれません。わたしはスライダーの購入を検討しています。

また、ファインダーを覗いてマクロ撮影するのはかなり練習が必要だと感じました。通常の開放状態では被写界深度が浅くてかなりシビアですし、逆にがっつり絞り込む設定になっていると光学プレビューでは暗すぎます。できるなら十分に明るくて大きく見えるファインダーのあるカメラを使うのが良いでしょう。

そういえば、 APS-C センサーサイズながらフルサイズに匹敵する見え味と倍率の光学ファインダーを搭載した新型 APS-C フラッグシップ一眼レフを開発中のメーカーがあると聞いたことがありますね。 いったい何ンタックスなんだ…?

被写体にもよりますが、F11 くらいまで絞るとある程度の被写界深度が得られて使いやすいかなと思います。屋内ではかなりの暗さになるため ISO1600-6400 くらいでの露出になる場合も多く、高感度でも十分な画質が得られるカメラを使うと良いでしょう。

そういえば、KP を更に上回る ISO1600000 での撮影も可能で、フルサイズの K-1 Mark II にも負けないくらいの高感度耐性を持っている新型 APS-C フラッグシップ一眼レフを開発中のメーカーがあると聞いたことがありますね。 いったい何-3 Mark III なんだ…?

最短撮影距離は 15cm です。レンズ自体が結構長いのでワーキングディスタンスは 7cm くらい。固定長の鏡筒の中に前玉が引っ込んでいく構造になっているので、少なくともフードを付ければ寄りすぎてぶつけてしまうリスクは低いと思います。

最短での撮影はこんな感じです。ここまで寄った状態では本体内蔵ストロボだとレンズの影でケラレてしまうかもしれません。

本題から外れますが、お誕生日おめでとうございます。今年はお祝いできて本当に良かった…。

中距離〜遠景撮影

無限遠まで合焦するので、ふつうの中望遠レンズとしても問題なく使用できます。公式の作例にもポートレートがありますが、ボケもきれいで使いやすいと思います。

散歩

色乗りも良いのでカスタムイメージが捗ります。ポジフィルム調がお気に入りです。

散歩

Yozakura

まとめ

個人的にはかなり満足度が高い買い物だったかなと思っています。やはり2倍マクロは強力で、しかもお値段もお手頃というところで魅力的なレンズです。まだ使い始めて短い期間ではありますが、マクロレンズが欲しいペンタックスユーザの方には検討に値する一本だと思います。サイトロンジャパンが取り扱いを始めるのはいつごろになるんでしょうね…。

一方で、このレンズの性能を十分に活かすには旧型の K-S2 では厳しい面も感じました。特に問題になるのは十分な光量が得られない屋内での高感度撮影で、K-S2 は高感度ノイズが出やすいため ISO800 より上はあまり使いたくありません。ピント合わせに手間取るのもあって、1枚撮るだけで結構な時間がかかってしまいました。個人的な期待にはなりますが、このKマウント版は K-3 Mark III に装着してこそ真価を発揮できると思っています。というか最初からそのつもりで買ったんですけど。

リコーイメージングさん、DA55-300PLM のように首を長くして K-3 Mark III の発売をお待ちしております。